「ばったり目があった」んじゃない、おまえが見てるんだ!
私は小学・中学・高校・大学と全て男女共学で過ごして来ましたが、特にさかりのつく多感になる中学・高校の頃になると、とある女児に惚れ込んだ男児の中に「この前、大好きな○×子とばったり目が合ったんだよ、あいつも俺に気があるのかなぁ」などというたわごとを抜かすやつが必ずクラスに一人や二人いるものです。
寝言は寝てから言えという感じですが、気持ちはわからなくはないです。むしろ、同じ男として陥りやすいこのワナ、気持ちだけならよくわかります。
日ごろただ自分の心の中だけで彼女に対するアツイ想いを叫び、自分の気持ちだけがはやり、先走っているわけですから、彼女のふとした一挙一動が自分のために向けられたと妄信し、自分のアツイ気持ちが報われたと思いたい、というのはオトコゴコロというものです。
しかし、そこで先走らずに少し立ち止まって冷静に考えてみましょう。
「気のある女性とばったり目が合ってしまった」という場合、それはたいてい、彼女があなたに目を向けていたわけではないのです。
っていうか、あなたが彼女を見てるんです。
彼女に心を奪われたあなたが知ってか知らずか”Can't take my eyes off of you”状態に陥っているだけなのです。
あなたがずっと彼女のことを見ていれば、彼女がたまたま振り向いた拍子にでも自然とあなたと目が合うに決まっています。
それが妙な熱い視線を感じたからなのか本当にたまたまなのかはわかりませんが、ともかく、あなたが彼女を凝視し続ける限りそりゃあいつかは視線が合うのです。
言うまでもなく、そこには特別な意味は何もありません。
「気があるんじゃないか」とか「彼女もボクを見てるんじゃないだろうか」とかそんなことは一切ありません。
先に彼女を見ていたのはあなたなんだから。
っていうか、そもそも、あたなが相手のした行動に何やら淡い期待心を抱くとき、悲しいかな、まさにそういうときに限って、あなたが思う以上に相手はあなたのことを何とも思っていないものです。
ということを、自分は中学の時分に悟ってしまったというのはまた別の物語です。
何かやけに実感がこもっていませんか?というのは気のせいです。
こういうのは度が過ぎるとキモいだけなんで心当たりのある男性は気を取り直して正気に戻りましょう。
だけど、恋愛において、それも特に片想い状況のアタック段階においては、後にその恋がうまくいこうが失敗しようが、どれだけ”バカ”になれるかが大切だと、思いっきり歯止めのかかってしまう自分はことさら思うのでした。
変にテツガク的・ブンガク的な苦悩みたいなのを抱えて日々悶々としているよりはそっちの方がずっと清々しくてすかっとしているし、生暖かい目で見守っている余計なお世話の周辺関係者としてもそんなオトコに愛着が湧くものです。
目が合ったと言って浮かれる男を見て、ちょっとうらやましい気もする自分なのでした。