任天堂がマヂ本気SCEキラーモードに猛絶ブーストかけている件


あぁ、これは一体何なんだろう!
自分は一企業の一連のビジネス戦略でこれほどまでに身体を打ち震わせたことがない。


いい年こいてWiiに熱中したり、風邪引いたり、仕事に追われたりしてろくずっぽ自分のブログもやりかけの和訳も更新しないある意味懈怠な日々を続けていたが、これはもう書かずにはおけない!
興奮が指を走らせキーボードを叩かせている!!


何の話かって「ドラゴンクエスト9 DSでリリース!」の発表のことである。



あらかじめ断っておくがDQ9の発売におののいているわけではない。
DQはゲーム離れ(今振り返れば「休眠」だが)してプレイするタイミングを逃した「7」以外は国民行事参加的にやっていたが、あくまでも「国民行事的」であり、DQというタイトル自体に格別な思いがあるわけではない。


DS以来神威的な展開を見せる任天堂のやり方におののいているのである。


「突然のDQ最新作発表会!」⇒「DQ9、DSでリリース!!」⇒「即日TVCM!!!」
何だ、このコンボ!?


しかもこのコンボにはさらに特大のフィニッシュがある。


「本日、12/12はPSPの2歳のお誕生日です。」


ちゅど〜ん!!(意味不明)


もうね、ここまで来ると任天堂は心底SCEを市場から抹殺する気マンマンにしか見えない。


「PSP価格&発売日発表直前のDS価格発表(俗に言う”空白の17分間”)」
     ↓
「タチジェネ展開、Wifi積極採用、TVCM良プロモーションによるDS起爆⇒怒涛のキラーソフトリリースラッシュ⇒PSP潰し」
     ↓
「Wiiリモコンによる革新的インターフェースの発表⇒PS3の話題性減殺」
     ↓
「潤沢(といっても需要にまったく足りてないが)な本体製造数&豊富な良ローンチタイトル確保⇒PS3の極小製造数&極小間に合わせローンチタイトル状態引き離し」
     ↓
「WiiプレビューでのWiiチャンネル発表⇒SONY渇望のリビング戦略・ホームサーバ戦略の可能性を十二分に示唆し、土俵に乗る」

「発売2ヶ月前からのディザー手法によるWiiテレビCM他プロモーション攻勢、3大都市における体験会開催⇒広告もろくに打てないPS3の発売1ヶ月前にぶつけ、さらに話題性を奪う」
     ↓
「社長インタビューによる経営トップ自らの意思表明⇒国内外経営トップ陣自らが珍妙かつ迷走するSCEとの対照性の浮き彫り」
     ↓
「2億ドルを投じるYou tube広告展開⇒ユーザー自らからYou tubeにUPされるであろうプレイ動画への耳目寄せ⇒広告もろくにうてないSC・・・(以下略)」
     ↓
「PSPお誕生日に国民的超キラータイトルの発表とTVCM即時展開⇒(そんなものあるのかわからないが)PSP2周年祝賀ムードの抹殺」←今ここ


岩田さん、あなたはどれだけ容赦ないんですか!?
岩田さん、あなたはSCEをどれだけタコ殴りにすれば気が済むんですか?
岩田さん、なぜ現実のビジネスでこんな漫画やドラマやそれこそゲームみたいなことができるんですか?


そりゃあSCEが独りで勝手に自爆してる面もあるし、任天堂だって万事がうまくいっているわけではない(Wiiコンフライング騒動、D端子ケーブル急遽延期バッシング、インターネットチャンネルお天気チャンネル・丹生^スチャンネル本体同時未リリースなど)が、そんなの霞み飛ぶくらい神がかったこの展開は一体何なんですか?


つい先日「SCEと競争してる気はない」みたいな発言をしていたようだが(っていうか前からしてるが)、あれはウソですよね?
いやいや、多分ウソじゃない。「競争してる気」でなくて「殺す気」なんだ。


自分はWiiで購入したソフトの数を数えて愕然としてしまった。
発売日当初4本同時購入後、自分は「エレビッツ」「スカハン」と何気に2本の追加購入をしている。
ローンチタイトルで6本。


一方、2002年に突然気まぐれ的にICOがやってみたくなって購入したPS2の総ソフト数が11本(「ICO」「キングダムハーツ」「FF10」「FF10−2」「FF12」「ドラクエV」「ドラクエ8」「真・女神転生3」「真・女神転生3マニアクス」「ペルソナ3」「DDS アバタールチューナー(前後編2本)」)。


発売1週間ちょい内で6本、4年かかって11本(そのうちクリアするまで熱意の続いたソフト3本)というその差。


PS2の総ソフト資産何千と言われている中でたったの11本、そのうちクリアするまでやり切ったのが3本・・・っていかに自分がゲームに「ふーん」くらいの反応しかしていなかったかふと気づいてしまった。


その期におよび、ひょっとしたら任天堂はSCEをやはり殺したいんじゃないかと邪推した。


任天堂の標榜するは「ゲーム人口の拡大」。
「ゲーム人口の拡大」のためには4年かけて11本しかゲームせずに「ふーん」で終わっていたユーザーを産み出すようなハードの存在は、ハード戦争の直接のライバル足り得なくても業界全体の健全性を喪失させる邪魔な存在。
よって、業界の未来のためにさっさと退場して欲しい・・・「競争する気はない」のにここまで完膚なきまで叩きのめしているように見える真意はこういうことなのではないかと妄想。


まぁこんなものは個人レベルに照らしたときそう見えたっていう妄言なんでたいした意義はないのだが、岩田氏のインタビューなんか見てるとほんと熱いものが込み上げて感涙しそうな気分になる。


なんてコンセプトメイキング、なんてお客様視点、なんて販促上手、なんて自社風土・リソースを知り尽くした使い尽くしたマネジメント、あたしゃ経営とかで全然ないけど同じく企画系の仕事してるもんで立場的にはコンセプトメイキングしなけりゃならないし、企画には自社の風土・リソースをわきまえて現実的な形に落とし込んで提案しなけりゃならないし、企画したコンセプトはプレゼンしなけりゃならないし、会社で散々「お客様視点重視」とか言われてるし、会社入って数年してやっと今自分がしてる仕事のいろはの「い」ぐらいはわかり始めて、その大変さも実感をもってわかるようになってきて、自分にはどこまでわかっててどこからがわからないかできないかがやっと見えるようになってきて、そんな自分には岩田氏の舵取りはもう神々しく見えてしょうがない。かっこよすぎてしょうがない。企画人たるべき人間の鑑そのものが形になったのが岩っちなのだと見えてしょうがない。


それと何かこうね、自らの横暴も原因だけど一度栄光から最底辺まで落ち込んだ任天堂が、だけどずっと地道に自己流の考え貫き通してずっとハード・ソフト開発してシェアは圧倒的に失ったけど黒字は出し続けていて、その間に色々失敗もしていて(バーチャルボーイとかサテラビューとか)、そんな試行錯誤と低空飛行時の総決算的に今の爆発っぷりを見せられると、うっ、と来てしまうんだ胸が。


昔感動しまくった漫画で「うしおととら」っつぅのがあってな、あれがまたすごいんだ。
クライマックスに畳み掛けるような怒涛の展開があってな、誰よりも他者との絆を大切にしていた主役の周囲みんなが主役についての記憶を失くして頼る術もなくなり、主役最強の武器にして唯一ラスボスに抗える存在である槍もコナゴナに砕けてこれでもかこれでもかって痛みつけられる最大のピンチを迎えてな、だけど案の定少年漫画的なピンチの脱出を果たしてこれまたこれでもかこれでもかって怒涛の勢いで優勢に転じるような畳み掛けっぷりなんだけどな、そのときに「お前たちの旅は無駄ではなかった」っていう決め台詞的な一枚絵が入って1巻からそれまでの展開全ての総括がそこでされて究極のクライマックスを迎えるんだけどな、今の任天堂見てるとまさにそれとダブるんよ。


もう何かおぢさん、感動だよ。ここまでされると。


ってまぁ、DQ9がDSリリースで「据え置き機は終わった」とか「結局次世代機は全滅だった」とか「WiiのライバルはやっぱりDS」とかそういう向きの意見もたくさん出てくると思うんだ。


けど、そんな単純なことなのかな、っておいら思うのよ。いきなり話の展開変わってるけど。


DSとWii連携させてくるくらいのことは考えてるんじゃないかな、って。
まぁ願望だがさ。でもここまでされたらオレ感動死しちゃうかも。


それと携帯機での発売、ネットワークゲー、アクションRPGっていう様変わりにがっかりする人も多いみたいだけどさ、DQなんて元からたいしてグラの豪華さにチャレンジしてないし、今までのDQも散々マンネリって言われてきたし、そんな中でDQ8がかなりいい線いってたけど、あれである意味8までの流れの総決算だったって気がしないでもない。


ここでまったく違う方向に舵切るのも、もう古参のクリエーターになる堀井雄二が従来の保守的な手法にこだわるのではなく方向性転換する、特に携帯機にメインナンバリングを持ってくるっていう決断をもっと歓迎してもいいと思うんだ。


今まで彼の暖めていたもの・やりたかったけど実現できていなかったことが爆発するんじゃないかって一クリエーターの創出する世界をおいらは楽しみにしているよ。
「ネタ切れした開発者に、じゃあこういうのはどうですか?と提案するのがハードメーカーの領分」みたいな発言をした任天堂岩田氏の言葉はまさにこのことを言っているような気がしてならない。


DSというハードを得たDQがどう華開くか、わたしらユーザーはおとなしく見守ろうじゃないか。